こんにちは、クマです。
米国株の下げが止まりませんね。時折反発しますが、またズルズルと下がってしまいます。
そんな中、個別銘柄への投資から、分散の効いたETFへ資金を移動したいと思っています。しかしながら、現在のところはほぼ含み損なので資金移動には時間がかかりそうです。
買付手数料がかからない?
さて、今回は米国ETFの中で、三大ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)が展開している米国ETF買付手数料の無料プログラムに注目したいと思います。
米国ETFの買付時に手数料を無料とするものです。
国内株でもそうですが、買付時には証券各社が定める手数料がかかります。証券会社は手数料ビジネスですからね。
ネット証券は、比較的手数料が安いので、為替手数料や税金の面でも気を付けなければならない米国株取引を行う上では有利になっています。
その中で、三大ネット証券が買付時の手数料を無料にしてしまった米国ETFがあるのです。
どのようなETFが対象になっているのでしょうか。
三大ネット証券の買付手数料無料対象ETFのまとめ比較
三大ネット証券、すなわちSBI証券、楽天証券、マネックス証券における買付手数料が無料となっている米国ETFは下表のとおりです。
投資対象 | ティッカー | 銘柄 | 経費率 | SBI | 楽天 | マネックス |
全世界 | VT | バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF | 0.07% | ○ | ○ | ○ |
全米 | VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF | 0.03% | ○ | ○ | ○ |
S&P500 | VOO | バンガード S&P500 ETF | 0.03% | ○ | ○ | ○ |
SPY | SPDR S&P500 ETF | 0.09% | × | ○ | × | |
高配当 | SPYD | SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF | 0.07% | ○ | ○ | ○ |
HDV | iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF | 0.08% | × | × | ○ | |
債権 | AGG | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF | 0.04% | ○ | ○ | × |
金 | GLDM | SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト | 0.10% | ○ | ○ | × |
不動産 | IYR | iシェアーズ・コア 米国不動産 ETF | 0.41% | ○ | ○ | × |
RWR | SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF | 0.25% | × | ○ | × | |
ナスダック100 | QQQ | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF | 0.20% | ○ | ○ | ○ |
情報技術 | VGT | バンガード 米国情報技術セクター ETF | 0.10% | ○ | ○ | × |
新興国 | VWO | バンガード FTSE・エマージング・マーケッツ ETF | 0.08% | × | × | ○ |
インド | EPI | ウィズダムツリー インド株収益ファンド | 0.84% | ○ | ○ | × |
テーマ | AIQ | グローバルX AIビッグデータ ETF | 0.68% | × | ○ | × |
テーマ | FINX | グローバルX フィンテック ETF | 0.68% | × | ○ | × |
テーマ | GNOM | グローバルX ゲノム&ヘバイオテクノロジー ETF | 0.56% | × | ○ | × |
テーマ | LIT | グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF | 0.75% | × | × | ○ |
テーマ | BUG | グローバルX サイバーセキュリティ ETF | 0.50% | × | × | ○ |
テーマ | DRIV | グローバルX 自動運転&EV ETF | 0.68% | × | × | ○ |
S&P500カバード・コール | XYLD | グローバルX S&P500・カバード・コール ETF | 0.60% | × | × | ○ |
ナスダック100カバード・コール | QYLD | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF | 0.60% | × | × | ○ |
優先証券 | PFFD | グローバルX 米国優先証券 ETF | 0.23% | × | × | ○ |
3社で、共通しているのは、赤太字にしたETFで、【VT】【VTI】【VOO】【SPYD】【QQQ】です。
数ある中で、この5つのETFを3社とも買付手数料を無料としていることは、長期投資における積立にはこれらが最適であると、わたしたち投資者や3社が評価していることにほかなりません。
うがった見方をすれば、要するに人気なので、これらの買付手数料を無料とすることで、多くの人に口座を開いてもらうための呼び水にしているのでしょう。
簡単に、これらの概要を見ていきます。(出典:Bloomberg)
【VT】指数:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
先進国と新興国市場の両方を対象とし、米国内外の株式で構成。時価総額加重の算出法を採用し、保有銘柄は四半期ごとにリバランスを行う
【VTI】指数:CRSP米国総合指数
米国株式市場全体を投資対象とし、3500以上の銘柄を保有、時価総額ベースでウエートを算定
【VOO】指数:S&P500種指数
米国の大型株であるS&P500種指数の全構成銘柄に投資。四半期ごとに時価総額加重平均を用いて保有銘柄のウエートを算定し、リバランスする
【SPYD】指数:S&P500高配当指数
S&P500で最も利回りの高い80社で構成
【QQQ】指数:ナスダック100指数
ナスダック100は、ナスダックに上場している時価総額が最大規模の非金融企業100社。コンピューターハードウエア ・ソフトウエア、通信、小売り・卸売り、貿易、バイオテクノロジーなどの主要業界の企業を反映
何を選ぶかは、好みでしょう。ただ、【VT】は全世界と言っても米国投資割合が60%近いため、全米株式の【VTI】、米国大型株の【VTI】と重なるために、いずれにも投資すると全体的に米国偏重になることに注意が必要です。
また、高配当重視の【SPYD】については、よく比較される【HDV】と、上の表にはない【VYM】もありますので、比較検討された方が良いかもしれません。
最後の【QQQ】は、現在は年初来下落率が、S&P500の約-23%であるのに対し、約-33%となっています。これがいつ反転するのかは分かりませんが、金利上昇に敏感なことから時間がかかりそうです。ただ、長期投資であれば今のうちに買い進めるのも良いかもしれません。また、情報技術セクターETFの【VGT】は、【QQQ】とほぼ同じチャートを示しており、経費率が【QQQ】より低いので、選択肢に入れても良いでしょう。
SBI証券の米国ETF買付手数料無料プログラム
SBI証券は、「SBI ETFセレクション」と称して、米国ETF買付手数料無料プログラムを提供しています。
対象ETFは10銘柄で次の通りです。
投資対象 | ティッカー | 銘柄 | 経費率 |
全世界 | VT | バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF | 0.07% |
全米 | VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF | 0.03% |
S&P500 | VOO | バンガード S&P500 ETF | 0.03% |
高配当 | SPYD | SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF | 0.07% |
債権 | AGG | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF | 0.04% |
金 | GLDM | SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト | 0.10% |
不動産 | IYR | iシェアーズ・コア 米国不動産 ETF | 0.41% |
ナスダック | QQQ | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF | 0.20% |
情報技術 | VGT | バンガード 米国情報技術セクター ETF | 0.10% |
インド | EPI | ウィズダムツリー インド株収益ファンド | 0.84% |
赤太字は3社とも対象で、青太字は楽天証券も対象としているETFです。ということは、楽天証券とすべて被っていることになります。
一覧すると、債券、金、不動産もあり、アセットアロケーション(資産配分)をふまえたラインナップであることが分かります。株式の【VT】や【VTI】と組み合わせれば、あまり深く考えずとも手堅い資産配分ができあがるようになっていることは好感が持てます。
これに、トッピングとして、高配当や新興国の注目株インドを組み込んでも面白いといった感じでしょうか。
ただし、「対象銘柄は今後も変更となる可能性があります。その際は当社WEBサイトにてご案内いたします」とのアナウンスがあるように、長期投資の方は注意が必要です。
本プログラム対象となるのは、インターネットコースの顧客のみとなっています。
楽天証券の米国ETF買付手数料無料プログラム
楽天証券の対象ETFは15銘柄です。
投資対象 | ティッカー | 銘柄 | 経費率 |
全世界 | VT | バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF | 0.07% |
全米 | VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF | 0.03% |
S&P500 | VOO | バンガード S&P500 ETF | 0.03% |
S&P500 | SPY | SPDR S&P500 ETF | 0.09% |
高配当 | SPYD | SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF | 0.07% |
債権 | AGG | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF | 0.04% |
金 | GLDM | SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト | 0.10% |
不動産 | IYR | iシェアーズ・コア 米国不動産 ETF | 0.41% |
不動産 | RWR | SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF | 0.25% |
ナスダック | QQQ | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF | 0.20% |
情報技術 | VGT | バンガード 米国情報技術セクター ETF | 0.10% |
インド | EPI | ウィズダムツリー インド株収益ファンド | 0.84% |
テーマ | AIQ | グローバルX AIビッグデータ ETF | 0.68% |
テーマ | FINX | グローバルX フィンテック ETF | 0.68% |
テーマ | GNOM | グローバルX ゲノム&バイオテクノロジー ETF | 0.56% |
赤太字は3社とも対象で、青太字はSBI証券も対象としているETFです。黒字は楽天証券のみ対象としているETFとなります。
S&P500と不動産において、SPDRのETFを入れています。楽天証券はSPDRシリーズを押しているので、その関係でしょうか。
なお、【VOO】と【SPY】については、こちらをどうぞ。
ほか、特徴としてテーマ型ETFが3本入っていることです。いずれもグローバルX社のETFで楽天証券のサイトには特集記事が組まれています。
グローバルX社のサイトから、各ETFのポイントを次に引用します。
【AIQ】グローバルX AIビッグデータ ETF
・世界のAI(人工知能)市場は2020年の300億ドルから2026年には3,000億ドルへ拡大する可能性があると予想されています
・AI(人工知能)はまだ成熟していない分野です。今後、さらに技術が発展すれば、応用範囲が広がるなど、計り知れない可能性を秘めています
・AI(人工知能)は複数の分野に渡り、その中でも最も革新的な企業は、世界中の有名企業から新興企業まで様々です。AIQでは、セクターや地域にとらわれず投資を行います
【FINX】グローバルX フィンテック ETF
・2020年にオンラインバンキングのアクティブユーザーは世界で19億まで近づいています。この数字は2024年までには25億に達すると予測され、この分野の一つのセグメントのみで膨大なアクセスがあるという事実を強調しています
・フィンテックはグローバルな分野であり、歴史的に従来の金融サービスが行き渡っていない途上国において中間層の拡大と共にブロードバンドとモバイルインターネットが普及し、その恩恵を受けつつあります
・フィンテック企業が歴史的に若い消費者のデジタル嗜好を生む一方、金銭貸借や保険といったより確立された産業分野において、コストと利便性でますます競合しています
【GNOM】グローバルX ゲノム&バイオテクノロジー ETF
・ゲノム解析や遺伝治療薬及び療法は、医薬開発や精密医療等、需要が高まっている主要な分野でヘルスケアの変革に貢献しています
・ゲノム解析コストは、2002年におおよそ1ゲノムあたり1億ドルから2020年には1,000ドル以下に低下しました。こういったコストダウンにより導入が進んでいます
・GNOMは、科学と技術が交差するヘルスケア分野への新たなエクスポージャーをグローバルに提供しています
ただし、「上記プログラムの内容は、予告なく変更または中止となる場合がございますのであらかじめご了承ください」とのアナウンスがあるように、長期投資の方は注意が必要です。とくにテーマ型ETFは旬があるので要注意でしょう。
また、対象ETF注文の時点では手数料を含んだ資金が仮拘束され、仮拘束資金のうち手数料分は、国内約定日の翌日早朝に拘束を解除されて購買余力に戻ります。
なお、楽天証券では特定口座、一般口座、NISA口座での買付が対象となります。
マネックス証券の米国ETF買付手数料無料プログラム
マネックス証券のプログラムは、「米国ETF買い放題プログラム」という呼称です。
対象ETFは13銘柄です。
投資対象 | ティッカー | 銘柄 | 経費率 |
全世界 | VT | バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF | 0.07% |
全米 | VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF | 0.03% |
S&P500 | VOO | バンガード S&P500 ETF | 0.03% |
高配当 | SPYD | SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF | 0.07% |
高配当 | HDV | iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF | 0.08% |
ナスダック100 | QQQ | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF | 0.20% |
新興国 | VWO | バンガード FTSE・エマージング・マーケッツ ETF | 0.08% |
テーマ | LIT | グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF | 0.75% |
テーマ | BUG | グローバルX サイバーセキュリティ ETF | 0.50% |
テーマ | DRIV | グローバルX 自動運転&EV ETF | 0.68% |
S&P500カバード・コール | XYLD | グローバルX S&P500・カバード・コール ETF | 0.60% |
ナスダック100カバード・コール | QYLD | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF | 0.60% |
優先証券 | PFFD | グローバルX 米国優先証券 ETF | 0.23% |
赤太字は3社とも対象のETFです。これ以外は他2社と被っておらず、独特なラインナップとなっています。
高配当ETFに2銘柄が用意されていることが注目されます。【SPYD】は配当利回りが比較的高く人気ですが、騰落が激しいため、入るタイミングが大事だと思います。
新興国株では、他2社がインド一国に絞っているのに対して、新興国に分散する【VWO】にしています。なお、10月14日現在、インドの【EPI】は年初来約-16.5%、【VWO】は約-27.3%となっています。インドの成長の可能性は高いと予想されますが、一国への投資はリスクが高いことに留意したいです。
楽天証券と同様にグローバルX社のテーマ型ETFが3本入っています。楽天証券とは被っていません。棲み分けているのは、何か背景があるのでしょうか。グローバルX社のサイトから、各ETFの注目ポイントを次に引用します。
【LIT】グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF
・リチウムバッテリー技術はEV、再生可能エネルギー貯蔵、及びモバイル機器の発展に不可欠です
・EVは直接にはゼロエミッションです。つまり、広範に採用されれば温室効果ガスの排出削減と都市の大気の質の向上をもたらします
・リチウム採掘・精製、バッテリー生産等リチウムサイクル全体への投資を目指し、従来の業種や定義にとらわれません
【BUG】グローバルX サイバーセキュリティ ETF
・サイバーセキュリティの市場規模は、2021年に世界でおおよそ1,800億ドルに達し、2028年まで3,700億ドルを超えると予測されます
・サイバーセキュリティは増幅するランサムウェアやオンライン攻撃の脅威に対し保護を求める公共・民間セクター双方に影響を及ぼすグローバルな課題となっています
・サイバーセキュリティの領域は広く、個人利用PCといった範囲を遥かに超え、増え続けるあらゆるデバイスやアプリケーションに及びます。BUGは従来の業種や地理的定義を超え幅広く投資します
【DRIV】グローバルX 自動運転&EV ETF
・2020年の世界の電気自動車(EV)登録台数は40%以上増加しましたが、新車販売台数に占めるEVの割合は5%未満であり、さらなる普及の余地があると考えられます
・EVは温室効果ガスの直接排出がゼロであるため、普及が進めば温室効果ガス排出量の削減と都市の大気環境の改善につながる可能性があります。また、自動運転がさらに進化すれば、交通安全対策に貢献すると考えられます
・自動運転やEVは単一の企業がカバーしているテーマではなく、DRIVでは、多数のセクターと産業に跨るグローバルな資産へ投資を行います
カバード・コール戦略をとるETF2本も入っています。【XYLD】はS&P500、【QYLD】はNASADAQ100の株式を購入して、対応する同一指数のコールオプションを売却するものです。
カバード・コール戦略とは? 株式、債券、通貨など(原資産)を保有しつつ、コールオプション(買う権利)を売り、原資産の将来の不確実な値上がり益を放棄する代わりに、オプションプレミアム(オプション権利を得るために買い手が払う対価)の確実な獲得をめざす戦略 ・売り手は、自分が保有する原資産について、権利行使価格(あらかじめ定めた価格)でオプションプレミアムを買い手から受け取る ・買い手が原資産を買う権利を行使した場合、売り手はその時の価格水準に関わらず、権利行使価格で原資産を売らなければならない 【メリット】オプションプレミアムが得られる 【デメリット】原資産の価格上昇による利益は、権利行使価格までに限定される ※買い手は、権利を行使しても利益にならない場合には、権利を放棄できる
最後の【PFFD】が対象とするのは優先証券です。簡単に言えば、優先証券は、株式と債券の中間に位置する有価証券のことです。配当の支払いにおいては普通株式より有利な扱いを受けますが、株主総会での議決権はありません。企業にとっては、配当を多く支払っても、議決権を持たないことで経営に干渉しない株主から資金を集めることができるというメリットがあります。【PFFD】は毎月分配で、直近の利回り(10月13日現在)は6.4%です。
マネックス証券の買付手数料無料の仕組みは、買付手数料(税抜)を全額キャッシュバックすることになっており、取引日の翌月末までに米ドルで外国株取引口座に入金されます。ただし、キャッシュバックの金額によっては、税法上、確定申告が必要になる場合があるとのことで、少し面倒かもしれません。
なお、NISA用米国株口座での取引は対象外となっていますので注意してください。
まとめ
3社とも定番は押さえているので、どこでも良いと思います。また、面倒でなければ3社とも口座を作って気になるETFを積み立てても良いのでは。
3社とも定期買い付けができますので、長期積み立てに買付手数料無料の米国ETFを活用することは大いにメリットがあるのではと思います。